From.IMAI
最近、環境市場について
特に「温室効果ガス」に関する情報を
皆様に共有しています。
そして本日も、あるトピックをもとに
「環境問題と経済とのつながり」についてお話します。
今回注目するトピックは
実に興味深い内容となっています。
『国境炭素税、日本対象「ほぼあり得ない」EU幹部』(日本経済新聞より)
環境問題は世界的に取り組んでいる内容で、
もはや半強制的に実行するべき目標を各国が提示しています。
その中の炭素税とは、
「地球温暖化を抑制するための経済的政策手段」
であり、環境税の一種とされています。
いわゆる「企業や使用者が排出する二酸化炭素量に制限を定め、
超過した場合は税金を払う」というものです。
当然、企業は税金をできるだけ払いたくないので、
努力して排出量をなんとか抑制しようとします。
その活動が、結果的にCO2の削減に繋がるわけです。
この炭素税は各国で
1tあたりの価格も異なりますし、
比較的目標そのものが緩い国もあります。
この制度を一言で言い表すと
「環境規制の緩い国からの輸入品に
事実上の関税をかける」
といった制度になります。
そして、日本がこのCBAMの
対象になることは
「ほとんどあり得ない」
と語っただけでなく、
「日米などと共通の制度に向けて協力していきたい」
との期待も示したそうです。
なぜこのようなことが
検討されているのでしょうか。
炭素税の規制の”差”に注目
実は、パリ協定に加盟している国でも
掲げている目標は様々です。
積極的に取り組んでいる国は
目標達成年度も「30年以内で○○%減」など
割と厳しく公表しているようです。
その一方で、国土領土の広さや技術面、
国民の積極性にもよりますが
各規制や取り組み、炭素税額などが
少ない国も当然存在します。
では、CO2排出制限が厳しく
炭素税が高い国の企業は何を考えるでしょうか?
おそらく…
「規制の緩い国に経営活動の拠点を移そう」と
考える企業がでてくるでしょう。
厳しい制限がない国であれば、
CO2を排出する量も自国よりは多く、
炭素税も自国よりは安い。
それならば国外で製品を大量に作って、
自国に輸入すれば良い。
こう考えるはずです。
このように、先進国における温室効果ガスの
排出削減のための規制導入により、
国内産品がそのような規制を受けていない
海外からの輸入産品によって代替されることで、
結果的に地球全体の温室効果ガスが減らない
通称「カーボンリーケージ問題」が
EUでは懸念されています。
実際にEUはかなり地球温暖化対策に積極的で、
他国に比べて様々な規制が厳しいのが現状です。
そのため、このカーボンリーケージの
対象となりそうな企業を
すでにEUは洗い出しているようなのです。
確かに、このカーボンリーケージが増え、
国外のCO2排出量が増えては本末転倒ですね。
このEUが考えるCBAMは世界的にも注目されている政策です。
しかし、これにより考えられる問題も
いくつかあるようです。
”各国間での”摩擦が生じる可能性
実は、この事実から考えるに
”環境規制の緩い国”は
本来必要のない税金が発生するわけです。
現段階では、EUがCBAMの
対象となる国を選ぶということでしょうが
これはEUと貿易関係のある国は
かなり注目しているでしょう。
EUは…
「自国のように積極的に環境規制に
取り組んでいる国とは協力関係にありたい」
と考えているようです。
何やら、これは投資家として
注目できそうなお題が出てきましたね。
おそらく、日本はEUとの関係を保つため
環境問題の取り組みを強化せざるを得ないでしょう。
また、アメリカもこのCBAMには
注目しているようです。
今後、EUだけでなくアメリカも同様な
対策を実施すると仮定した場合、
海外企業の株を保有されている方は、
注目すべき「分野」に変化がありそうですね。
この市場はもはや世界レベルでして、
様々な国の”最重要課題”となっている事項です。
今後もこれらに関するホットなニュースを
できる限りお伝え致します。
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